「中締めの挨拶、お願いできますか?」

宴会の準備で頭がいっぱいな幹事さんにとって、この一言はなかなかのプレッシャーですよね。

あるいは当日に突然「次、中締めお願いします」と耳打ちされて、心の中でえっ、何をすればいい…?となった経験がある方も多いのではないでしょうか。

中締めは宴会の流れを左右する大切な場面ですが、

「締めとどう違うの?」「タイミングはいつ?」「手締めって何種類あるっけ?」

と疑問が重なりがちです。

本記事ではそうした疑問をまとめて解消できるよう、

意味・タイミング・誰が行うか・例文・手締めのやり方まで、順を追って丁寧に解説します。

読み終えたころには「中締め、任せてください!」と言える自信がついているはずです。



中締めとは?「締め」「本締め」との違いをわかりやすく解説

そもそも中締めって何のためにあるの?

中締めとは、宴会の途中で一度区切りを入れる挨拶のことです。

宴会を完全に終わらせるわけではなく、「ここでいったんけじめをつけましょう」とアナウンスすることで、次の予定がある方や早めに帰宅したい方が退席しやすい空気をつくるのが主な目的です。

会社の宴会には、役職も部署もさまざまな人が集まります。全員が宴会の終わりまで残れるとは限りませんし、先に帰りたくても「まだ上司がいるのに帰りにくい…」と気を遣ってしまう方も少なくありません。

中締めがあることで、「ここで帰っても失礼にならない」という共通の合図になり、参加者一人ひとりへの配慮にもなります。

中締め・締め・本締め、3つの違いを整理

この3つの言葉は混同されやすいので、宴会の流れの中での位置づけを整理しておきましょう。

中締めは宴会の途中に行う「一区切りの挨拶」です。本締めの前に設けられ、退席の機会をつくるのが役割です。手締めをともなうことが多いですが、あくまで「まだ続きますよ」というサインです。

本締め(締め)は宴会の正式なお開きを告げる挨拶です。「それではこれにてお開きとさせていただきます」という宣言と手締めで宴会を終了させます。

手締めは締めや中締めの際に参加者全員で手を打って場をまとめる所作のことです。一本締め・三本締め・一丁締めなど種類があります(詳しくは後述します)。

宴会の流れをざっくりイメージすると「開会挨拶 → 乾杯 → 歓談・食事 → 中締め → 自由な歓談 → 本締め(お開き)」という順番になります。

関西では中締めがお開きになることも

実は関西では、中締めが事実上の本締めとして扱われることが多く、「中締めをもってお開き」という進行が一般的です。

参加者の多い大規模な宴会や、二次会への流れを重視する場合に採用されることも。

地域や会社の慣習に合わせて判断しましょう。

中締めのタイミングはいつ?宴会の流れと判断基準

「終了30分前」が鉄板タイミング

中締めを行うタイミングの目安は、宴会終了予定の30分前です。

もう少し具体的に言うと、宴会開始から1時間半〜2時間が経過した頃が多いです。

食事と歓談がひととおり落ち着き、場の熱気が少し和らいできたタイミングを見計らうと、スムーズに進行できます。

盛り上がっている最中に割り込むと「え、もう終わり?」となりやすいので、

司会者が「そろそろ中締めに入りましょうか」とアナウンスし、会場が少し静まるのを待ってから挨拶者へマイクを渡すのがスマートです。

場面別の進行タイミング目安

会の種類によって宴会の総時間が異なりますので、場面別に目安をまとめました。

忘年会・新年会(総時間2〜3時間)

開始から90分〜2時間が経過した頃が中締めの目安です。残りの30分を自由な歓談や二次会の声かけに充てると、盛り上がりのまま解散できます。

歓送迎会(総時間1.5〜2時間)

終了予定の20〜30分前が目安です。送る方・迎える方へのメッセージや記念品の贈呈は中締めの前に済ませておくと流れが自然になります。

懇親会(総時間2〜3時間、大人数)

開始から2時間を目安に中締めを入れましょう。複数の部署や組織が集まる懇親会では、予定時刻通りに進行することが特に重要です。中締めが遅れると帰りにくくなる方が続出してしまいます。

中締めを省略してよい場面・しない方がよい場面

少人数の気軽な飲み会や、最初から全員が最後まで残る前提の場では中締めを省略しても問題ありません。

一方、来賓や取引先を招いた接待・100名を超える大規模な宴会・歓送迎会や周年パーティーなど節目の場では、中締めを設けるのがビジネスマナーとして基本です。

「途中で帰りたかったけど、中締めがなくて帰れなかった」という状況を避けるためにも、大人数の宴会では必ず段取りに組み込みましょう。

中締めは誰が行う?役職・依頼のマナー

基本ルールは「2番目に役職が高い人」

宴会の挨拶は役職の順番に従って割り振るのが社会人のマナーです。最も役職が高い方が開会挨拶・乾杯を担当するのに対し、中締めは2番目に役職が高い方が行うのが一般的とされています。

典型的な例としては、社長が乾杯の音頭をとり、専務または部長クラスが中締めを担い、課長クラスが本締めを担当する、という流れです。

なぜ順番にこだわるのか。それは宴会の挨拶順が、組織の「序列」を公に示す機会でもあるからです。

順番を誤ることは本人の評価を傷つけるリスクになりますし、職場の人間関係にも影響しかねません。

幹事さんはここを特に丁寧に確認しておきましょう。

同じ役職が複数いる場合の判断基準

同じ役職の方が複数いる場合は、以下の順で判断するのが一般的です。

  1. 社歴が長い方(入社が早い方)
  2. 当該プロジェクトや部署への関与度が高い方
  3. 宴会の趣旨に関係が深い方(歓送迎会であれば異動・入社に関わる部署の方など)

判断に迷ったときは、上長や社内の慣習に詳しい先輩に事前に確認しておくと安心です。

幹事が依頼する際のポイント

中締めの挨拶は、当日に急に依頼するのは絶対に避けましょう。

相手に準備の時間を与えるためにも、少なくとも3〜5日前に対面で依頼するのが望ましいです。

依頼の際に伝えるべき内容は次の通りです。

  • 中締めの挨拶をお願いしたい旨(なぜその方にお願いしたいかの理由も添えると丁寧)
  • 宴会の日時・場所・参加人数・大まかな進行の流れ
  • 中締めを行う予定の時刻(目安)
  • 手締めの種類(一本締め・三本締めなど、会の格式に合わせて事前に決めておく)

「忙しいのに突然言われた」とならないよう、相手が気持ちよく準備できる環境を整えることも幹事の大切な仕事です。

中締めの挨拶の構成と例文(場面別)

基本の4ステップで迷わず組み立てられる

中締めの挨拶は長くなりすぎないのが鉄則です。1分30秒〜2分を目安にまとめましょう。以下の4ステップを押さえれば、どんな場面にも応用できます。

ステップ1:中締めの宣言

「僭越ながら、中締めのご挨拶をさせていただきます」など、まず「中締めである」ことを明確に宣言します。参加者が「あ、中締めに入るんだな」と理解できる一言が大切です。

ステップ2:参加者・幹事への感謝

「お忙しい中お集まりいただきありがとうございます」「本日の場を設けてくださった幹事の○○さんに感謝申し上げます」など、感謝の言葉を述べます。

ステップ3:会の趣旨に沿った一言

忘年会なら今年の振り返りと来年への期待、歓送迎会なら対象者への言葉、懇親会なら参加者同士のつながりへの期待など、会の目的に合わせた一言を添えます。ここが一番個性の出どころです。

ステップ4:手締めの呼びかけ

「お手を拝借」「一本締めでお願いします」など、手締めへの誘導で挨拶を締めくくります。

忘年会の例文

僭越ながら、中締めのご挨拶を申し上げます。本日は年末のお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。今年一年を振り返りますと、皆さんのご尽力のおかげで数多くの難題を乗り越え、○○部として大きな成果を上げることができました。来年もこのチームで、さらに高みを目指してまいりましょう。それではお手を拝借——いよーっ!(一本締め)ありがとうございました。

懇親会の例文

ご紹介にあずかりました○○でございます。本日の懇親会、皆さんいかがでしたでしょうか。普段なかなか顔を合わせる機会のないメンバー同士でも、今日は笑顔でお話しされている場面をたくさん見かけました。今日生まれた新しいつながりを、ぜひ明日からの業務でも活かしていただければ幸いです。それでは一本締めでまいります。お手を拝借——いよーっ! ありがとうございました。

歓送迎会の例文

本日はご多忙のところお集まりいただきありがとうございます。○○さん、長年にわたり私たちと一緒に歩んでくださり、本当にありがとうございました。新天地でのますますのご活躍を心よりお祈り申し上げます。また、新しく仲間に加わってくれた△△さん、これからどうぞよろしくお願いします!まだまだ語り足りない方も多いかと思いますが、ここで一区切りとさせていただきます。お手を拝借——いよーっ!

挨拶を上手にまとめるコツ

いくつかの工夫を意識するだけで、挨拶の印象がぐっと変わります。

①事前に声に出して練習する

頭の中で考えているだけでは、本番で言葉が出てこなくなりがちです。一度声に出して時間を測っておくと、2分以内に収まるか確認できます。

②「えー」「あのー」を減らす

フィラーが多いと内容が頭に入りにくくなります。ゆっくり話すことを意識するだけでフィラーは自然と減っていきます。

③場が静まってから話し始める

盛り上がっている最中に話し始めると声が届きません。司会者に「ちょっと静かにしてください」とアナウンスしてもらってから、落ち着いて話し始めましょう。

④手締めの前に「では、○○締めでお願いします」と一言添える

何の手締めをするのかを事前に伝えておくと、参加者が迷わずそろいます。

手締めの種類とやり方|一本締め・三本締め・一丁締め

中締め・本締めどちらにも欠かせない「手締め」には、代表的な3種類があります。

場の格式や雰囲気に合わせて選ぶのが大切です。それぞれのやり方を丁寧に確認しておきましょう。

一本締め

  • どんな場面に向いている?

    ビジネスの宴会から気軽な飲み会まで、最も幅広く使われる手締めです。忘年会・懇親会・歓送迎会など、会社の宴会全般で使えます。

  • やり方

    「お手を拝借」と声をかけ、全員が注目したら「いよーっ!」と掛け声。続けて「パパパン・パパパン・パパパン・パン」(3回・3回・3回・1回、合計10回)のリズムで手を打ちます。これを1セットで終えます。最後の「パン」の後に「ありがとうございました」と唱和して拍手でまとめると美しく締まります。

  • 由来とポイント

    一本締めは「10(じゅう)=丸(まる)=円(縁)」という語呂合わせが由来とされており、縁起のよい締め方とされています。リズムを外しやすいのは最後の「パン」の部分。前の「パパパン」に引きずられて「パン・パン」と2回打ってしまう方が多いので注意しましょう。

三本締め

  • どんな場面に向いている?

    一本締めを3回繰り返す、より格式の高い手締めです。創立記念パーティー・祝賀会・業界団体の大規模な宴会・来賓や取引先を招く接待など、公式度の高い場面で使われます。

  • やり方

    一本締めと同じリズムで、「よーっ!」の掛け声とともに3回繰り返します。2回目・3回目の前には「もう一本!」と声をかけて続けるのが一般的です。

  • 注意点

    三本締めは一本締めの3倍の時間がかかります。参加者の中に三本締めに不慣れな方がいると途中でバラけてしまうことも。一般的な社内宴会では一本締めで十分なケースがほとんどです。

一丁締め(いっちょうじめ)

  • どんな場面に向いている?

    「パン」と1回だけ手を打つシンプルな手締めです。「関東一本締め」とも呼ばれることがあり、少人数の飲み会やカジュアルな場に向いています。関西圏では特に広く使われており、馴染みが深い手締めです。

  • やり方

    「お手を拝借」の後、「よーっ!」「パン」——これだけです。シンプルがゆえに、テンポよく決まるとかっこいい締め方になります。

  • 一本締めとの混同に注意!

    「一本締め=1回だけパンと打つ」と思っている方が非常に多いのですが、それは一丁締めです。正確には「一本締めは10回、一丁締めは1回」。知らずに一本締めと案内して全員が1回しか打たなかった…という失敗は幹事あるあるのひとつです。案内の際は「一本締め(10回)でお願いします」と補足しておくと安心です。

手締めで失敗してしまったときは

リズムがそろわなかったり、タイミングがずれてしまったりすることは誰にでもあります。

そんなときは「すみません、もう一度!」と笑顔で言い直してしまいましょう。

場を凍りつかせず、むしろ場が和むこともあります。大切なのは完璧にやることよりも、その場の雰囲気を大切にすることです。

【幹事向け】宴会当日の中締めチェックリスト

中締めをスムーズに進めるために、幹事さんが事前に確認しておきたいことをまとめました。当日にあわてないための備忘録としてご活用ください。

3〜5日前

  • [ ] 中締めを依頼する方を決める(役職順を確認)
  • [ ] 対面で依頼し、手締めの種類も伝える
  • [ ] 進行タイムラインの中に中締めの時刻を明記する

前日

  • [ ] 中締め担当者に当日のタイムラインを改めて共有する
  • [ ] 司会者と「中締めはこのタイミングでアナウンスする」と認識をそろえる
  • [ ] 会場のマイク・音響の使い方を確認しておく

当日(宴会開始前)

  • [ ] 中締め担当者と顔を合わせて「よろしくお願いします」と確認する
  • [ ] 司会者と再度タイムラインを確認する

宴会中

  • [ ] 中締めのタイミングが近づいたら、担当者の近くにいるスタッフや司会者に合図を送る
  • [ ] マイクを準備して、アナウンス後にスムーズに手渡せるようにしておく

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中締めや手締めは、参加者全員の声とリズムがそろってはじめて場が締まります。

そのためには全員に声が届くマイクと音響設備、そして手を打つ音が映える程よい広さの空間が欠かせません。

居酒屋では個室ごとにBGMが流れていて手締めの音が届かないケースや、天井が低くて手締めの迫力が出にくいケースも少なくありません。そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。

一方、ホテルの宴会場や結婚式場のバンケットルームはマイク・音響設備が標準装備されており、広い空間で全員の声と手拍子が響きわたります。

中締め・本締めを含む宴会全体の進行がスムーズになるのはもちろん、参加者の一体感が段違いです。「あの会社の宴会、雰囲気よかったよね」と後日話題になるような場をつくるなら、会場選びにもこだわってみましょう

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まとめ|中締めは「準備8割、度胸2割」

中締めは、準備さえ整っていれば決して難しいものではありません。最後にポイントをまとめておきます。

  • 中締めの目的は途中退席しやすいタイミングをつくること。本締め(お開き)とは別物です
  • タイミングは終了30分前・開始から1.5〜2時間後が目安。司会者と事前にすり合わせておきましょう
  • 担当者は2番目に役職が高い方。幹事は3〜5日前に対面で丁寧に依頼します
  • 挨拶の構成は「宣言→感謝→一言→手締め」の4ステップ。1〜2分に収めるのが鉄則です
  • 手締めは一本締め(10回)・三本締め(30回)・一丁締め(1回)から場に合わせて選びます。一本締めと一丁締めの混同には要注意!
  • 会場の音響・広さにも気を配ることで、中締めの完成度がぐっと上がります

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