「内定式の後に懇親会を開く予定だけど、何をすればいいのかわからない」
「毎年同じ流れになってしまい、内定者に喜んでもらえている実感がない」
内定式と懇親会をセットで企画することになった人事担当者が、こうした悩みを抱えるのは珍しくありません。
インターネットには「懇親会でやること」の一般的なリストはたくさんありますが、「内定式とセットで、どう設計するか」を解説した記事はほとんどありません。
本記事では、
内定式と懇親会の役割の違いから始まり、プログラム設計・演出の3原則・盛り上がる企画10選・会場選びの条件・オンライン開催のポイント・当日の準備チェックリストまで、
担当者がこの記事だけで設計を完成できるよう徹底解説します。
内定式と懇親会の役割を分けて設計する
内定式と懇親会は、同日に連続して実施されることが多いですが、この二つはまったく異なる目的を持っています。
どちらも「内定者のため」ですが、設計を混同すると、どちらも中途半端になります。
内定式の目的:「内定者」から「組織の一員」へのスイッチを入れる
内定式は、企業が内定者に対して正式な内定を伝え、入社への意志を確認する公式セレモニーです。
内定通知書の授与・代表挨拶・誓約書の提出などが中心となり、内定者には「自分はこの会社に採用された」という実感と責任感を持たせることが目的です。
一言で言えば、「緊張感と覚悟を醸成する場」です。
懇親会の目的:緊張をほぐし、「ここが自分の居場所だ」と感じさせる
懇親会の目的は、内定式で生まれた緊張をほぐし、仲間や先輩社員との接点を作ることで「この会社に入社してよかった」という感情を育てることです。内定辞退の最大の原因は「不安」と「孤独感」であり、懇親会はそれを解消する場として機能します。
一言で言えば、「安心感と仲間意識を育てる場」です。
同日開催する場合の時間設計のポイント
内定式と懇親会を同日に行う場合、場の空気を切り替える「インターバル」が非常に重要です。
推奨タイムライン(例:10:00〜17:00の場合)
時間帯 | プログラム | 役割 |
10:00〜11:30 | 内定式(セレモニー) | 緊張・覚悟・公式感 |
11:30〜12:30 | ランチ休憩(移動を含む) | 空気のリセット |
12:30〜16:30 | 懇親会プログラム | リラックス・交流・安心感 |
16:30〜17:00 | クロージング・記念撮影 | 仲間としての一体感 |
ランチを挟む・会場を移動する・BGMや照明を変えるといった演出で「モードが切り替わった」ことを体感させましょう。
内定式の緊張感を引きずったまま懇親会に突入すると、内定者はリラックスできず、交流が表面的になってしまいます。
懇親会のプログラム設計|時間配分と順番の原則

懇親会のプログラムは「盛り上がれればよい」という発想で設計すると失敗します。
各パートに明確な目的を持たせ、内定者の感情が段階的に「緊張→解放→仲間意識」へと変化する流れを設計することが重要です。
基本構成(90〜120分モデル)
パート | 時間 | 目的 |
① オープニング・場の説明 | 5〜10分 | 「評価の場ではない」と明示し、心理的安全性を確保する |
② アイスブレイク | 20〜30分 | 緊張をほぐし、隣の人と話すきっかけを作る |
③ グループワーク / ゲーム | 20〜30分 | 内定者同士の仲間意識・チームワークを育てる |
④ 先輩社員との座談会 | 20〜30分 | 不安・疑問を解消し、入社後のイメージを具体化する |
⑤ 食事・自由交流 | 30〜60分 | 緊張のない場でのコミュニケーションで関係を深める |
⑥ クロージング | 5〜10分 | 次の接触機会(次回の懇親会・個別面談)を案内する |
人数規模別の設計変化
〜30名の場合: 全員が一堂に会してもアイスブレイクが機能します。グループワークは3〜5名単位で、座談会も全体でQ&A形式が成立します。少人数の強みを活かして、全員が発言できる場を作りましょう。
30〜80名の場合: グループ分けが重要になります。アイスブレイクは小グループ(5〜6名)で実施し、座談会も「テーマ別テーブル」などで分散させると全員が発言しやすくなります。
80名超の場合: セレモニー的な運営が必要になります。アイスブレイクはグループ対抗形式にし、代表者が発表する構造にすると全体の一体感を保てます。先輩社員も多く配置し、全グループにファシリテーターを1名つけるのが理想です。
内定辞退を防ぐ演出の3原則

内定辞退の背景には主に三つの要因があります。「入社への不安」「他社との比較」「仲間がいないという孤独感」です。
懇親会の演出は、これら三つに対して意図的に働きかけるよう設計する必要があります。
原則① 不安を解消する:先輩社員との「正直な対話」を設計する
内定者が一番聞きたいのは、「実際のところ、入社して後悔しませんか?」という質問への本音の答えです。
良いことばかりを並べる座談会は、かえって不信感を生みます。]
参加する先輩社員には事前に「良い点だけでなく、大変な点や自分が苦労したことも正直に話してください」と伝えましょう。等身大のリアルを語れる先輩の存在が、内定者の不安を最も効果的に解消します。
また、内定者が聞きにくいことを引き出すために「あらかじめ質問を匿名で集めておく」手法も有効です。
「残業はどのくらいですか?」「配属はどうやって決まりますか?」など、正直に聞けないことへの回答が場の信頼度を高めます。
原則② 比較を遮断する:「この会社を選んだ理由」を強化する
内定者は複数社の内定を持っていることも多く、懇親会の後でも他社と比較し続けます。「この会社でなければならない理由」を感情レベルで強化することが、懇親会の最大の目的の一つです。
そのために有効なのが「経営者・事業責任者のライブな言葉」との接触です。懇親会の場で社長や事業部長が登場し、内定者に直接語りかける時間を設けると、「この人と一緒に働きたい」「この会社のビジョンに共感できる」という感情が生まれやすくなります。
また、ホームページでは伝わらない「会社の空気感」を体感させることも重要です。オフィス見学・社内の雰囲気・社員同士の関係性を目の当たりにすることで、「ここは自分が思っていた会社と同じだ(あるいはそれ以上だ)」という確認が起きます。
原則③ 孤独感を解消する:「同期の仲間」を作る
入社前の孤独感は、内定辞退の大きな引き金になります。「知っている人が誰もいない中で入社する」という不安は、実は「他社に行けば友人が先に入社している」という比較と組み合わさると、辞退を後押しします。
懇親会のグルーピングはランダムではなく、「話しやすい組み合わせ」を意識して設計しましょう。出身地・趣味・志望職種などの事前アンケートをもとにグループを組むと、自然に会話が生まれます。「同期に気の合う仲間がいる」という感覚を懇親会の中で形成することが、辞退防止の最大の武器です。
NG行動リスト(参加社員への事前周知が必須)
- 就活の終了状況をしつこく確認する(オワハラに該当する場合がある)
- 他社の内定状況を詳しく聞き出そうとする
- 内定者を評価・観察するような言動をする
- 会社の一方的な自慢話に終始する
盛り上がるアイスブレイク・ゲーム10選
以下の企画を、人数・時間・目的に合わせて選んで活用してください。
No | 企画名 | 対象人数 | 所要時間 | 準備物 | 特徴・ポイント |
1 | GOOD&NEW | 3〜10名 | 10〜15分 | なし | 24時間以内の「よかったこと・新しいこと」を一人ずつ発表。ポジティブな場の空気を作れる |
2 | 他己紹介ゲーム | 全員(ペア) | 15〜20分 | なし | ペアになって質問し合い、相手を全体に紹介。自然に相互理解が深まる |
3 | 漢字自己紹介 | 全員 | 10〜20分 | 紙・ペン | 自分を漢字一文字で表して発表。インパクトが強く名前を覚えやすい。オンラインでも実施しやすい |
4 | リレー自己紹介 | 5〜15名 | 10〜15分 | なし | 前の人の名前を連ねながら自己紹介。他者の情報を楽しく覚えられる |
5 | 共通点探しビンゴ | 全員 | 15〜20分 | ビンゴシート | 内定者同士が会話して共通点を探しビンゴに記入。交流のきっかけが自然に生まれる |
6 | チーム対抗クイズ(会社トリビア版) | 全員(チーム分け) | 20〜30分 | クイズシート | 会社の歴史・商品・社員にまつわるクイズで、楽しみながら会社理解が深まる |
7 | ワードウルフ | 5〜10名 | 15〜20分 | お題カード | 全員に渡されたワードが微妙に異なり、少数派を見つけ出すゲーム。会話力・洞察力が試される |
8 | 謎解き脱出ゲーム | 4〜6名(チーム) | 30〜60分 | 謎解きキット | チームで協力して謎を解く。達成感の共有がチームビルディングにつながる |
9 | 一致するまで終われまテン | 全員 | 15〜20分 | なし | お題に対する回答が全員一致するまでひたすら話し合う。強制的に対話が生まれる |
10 | 〇×クイズ(オンライン向け) | 全員 | 15〜20分 | Zoom+チャット機能 | 会社・業界・人事担当者にまつわる〇×クイズ。声を出さなくても参加でき、オンライン特有のハードルを下げられる |
選び方のポイント:
アイスブレイクは「場を温める」目的で使うため、最初は難易度が低く全員参加しやすい企画(GOOD&NEW・漢字自己紹介など)から始め、場が温まったら難易度の高い企画(謎解き・ワードウルフ)に移行するのが王道です。





